創立20周年(1939年)に集った支援者たち (東京女子大学構内にて)

中央の着物の女性は初代の日本人館長 吉見静江
戦後、厚生省(当時)初代保育課長として保育制度の普及と内容の充実に力を注ぎました。

 2019年5月、社会福祉法人興望館は創立100周年を迎えました。
 興望館を創立したのはカナダとアメリカから来た日本キリスト教婦人矯風会外人部会の女性たちでした。1919年1月29日に勉強会を開き、本所深川地域の家族の暮らしが厳しい様子、特に5歳までの乳幼児死亡率が3人に1人という状況を聞きます。記録には、「この報告を聞き、少しでも救済したいという思いにとりつかれた。」とあります。
 当時、墨田区周辺は日本の産業の黎明期に誕生した工場とそこで働く労働者たちがひしめいていました。活気あふれると同時に、労働者たちの賃金は低く、地方から流入した家族が貧しさから困窮している状況でもあったのです。
 その後、関東大震災による建物の焼失、第二次世界大戦前後の物資不足の中でも、地域の方々の生活に密着した助けや興望館の考えに共鳴した人たちの志に支えられて、様々な事業を展開しました。そして、現在は東京都墨田区に保育園と児童厚生施設、長野県軽井沢町に児童養護施設を持つ法人となっています。
 近年、興望館周辺は大きく変化しました。半蔵門線が開通した2003年頃から始まった再開発が、2008年の高層マンション建設や2012年のスカイツリー開業によって飛躍的に進み、交通の利便性から都心に通勤する家族層が多くなりました。創立者たちにとっては想像もしなかったような町の姿でしょう。

 このような大きな変化の中で迎える興望館の100周年。主な事業は次の4つを行いました。
A.記念礼拝・式典・各部/事業感謝会の実施
B.『興望館100周年記念誌―希望への扉』の編纂
C.Lattitude Global Volunteering (旧GAP Activity Projects)ボランティア受け入れ25周年感謝会の実施
D.各部事業「総括と展望」プロジェクト

 特に、Aの各種記念行事については、法人の大きな記念礼拝・式典のほか、保育園や沓掛学荘、学童クラブ、お食事友の会や興望館デーなど様々な機会に、多くの方々にお祝いしていただきました。
 Bの記念誌は、興望館の100年の歩みを記録するために、残されている歴史資料を詳細に読み込み、データ化し、事業史を振り返る作業が鈴木みな子評議員、中島豊理事のご協力で発行することができました。また、職員が中心となり、興望館が果たしてきた働き、今後果たすべき働きについて検証するDの「総括と展望」プロジェクトのまとめもご紹介しました。
 興望館後援会では、100周年記念募金のほか、みんなで楽しめる企画を考えました。記念Tシャツの販売。夏のキャンプや秋のこうぼうかんデーではお揃いのTシャツを着て盛り上げました。
 このように2019年はたくさんの皆様のご協力のもと、100周年という記念の年を過ごすことができました。今後も興望館とともに時を歩んでいただければと存じます。

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